乾燥はお肌の大敵
スキンケアの要は何といっても「保湿」ですが、その大敵が乾燥です。
健康な状態のお肌に含まれる水分量は約20~30%とされていますが、この水分量が20%以下になると、お肌のカサつきやつっぱりを感じる「乾燥肌」の状態になります。
特に空気中の湿度が低下する季節には、お肌の水分が急激に蒸発しますので、お肌の乾燥を感じたときには既にお肌の乾燥がかなり進んでしまっていることも…。
そして、乾燥したお肌は本来のバリア機能低下してしまいますので、シワやたるみ、くすみなど様々なトラブルを生み出す要因になります。
お肌のトラブルは早期に対処することが重要ですが、忙しさにかまけて乾燥対策の保湿をおろそかにしてしまえば、バリア機能が低下したお肌は外部の刺激を受けやすくなり、さらに危険な状態を生む各循環に。
お肌の乾燥は特に注意して、保湿で速やかに対処したい重要なポイントです。
お肌が乾燥する仕組み
お肌の乾燥はお肌のタイプによっても発生する条件には個人差がありますが、季節による空気中の湿度の低下以外にも、毎日の食事やスキンケア、冷暖房の設定等で保湿成分や皮脂分泌量の低下が起こることでも発生しやすくなります。
そして残念なことに、乾燥で失われるのはお肌の水分だけではなく、お肌の水分を保持する保湿成分も乾燥によって失われてしまいます。
保湿と乾燥とお肌のバリア機能
乾燥に対処するスキンケアが保湿ですが、乾燥に直接対処するお肌の仕組みがお肌のバリア機能です。
「保湿」はお肌に保湿の美容成分を与え、お肌にうるおいを与えるスキンケアですが、その最大の目的はお肌のバリア機能を高めること。
相反する言葉ですから、乾燥と保湿の関連性は語感だけでもお判りいただけると思いますが、お肌のトラブルをもたらすのは主に外部刺激であり、その進入を容易にするのはお肌のバリア機能の低下です。
お肌の機能を正常に保つことがスキンケアの一番の目的ですが、それと同時にお肌のバリア機能を正常化することでもあります。
角質肥厚とインナードライ
角質肥厚
乾燥により表面の皮脂や、お肌内部の水分と保湿成分を失ったお肌は、お肌のバリア機能が低下してしまいますので、角層はお肌を守るためにさらなるバリア機能として、通常のターンオーバーよりも急ピッチで多くの角質細胞を生産します。
しかし、お肌を守るべくターンオーバーを超えて増産された角質は、剥がれ落ちずに角層で積み重なっていきます(角質肥厚)ので、お肌の表面で厚く、凹凸のある角層ができてしまうのです。
なお角質肥厚はお肌の透明感を失わせますので、表情に暗い印象を与えますし、くすみやシミの原因にもなります。
また角質肥厚は乾燥のみならずお肌を過度な外部刺激から守ろうとする働きですので、お肌へ過剰な負担となる行為は極力避けたほうが無難です。
「やさしく」「手早く」「正しく」「しっかり」なスキンケアを常に心掛けましょう。
インナードライ
また混合肌タイプの方の場合、水分を失ったお肌は角質肥厚と同様に、皮脂分泌を過剰にしてお肌を守ろうとする(インナードライ)ことも。これが、Uゾーンの乾燥に反してTゾーンのお肌がテカってしまう原因です。
過剰な皮脂分泌もまた、毛穴詰まりやニキビなどお肌トラブルの原因になります。
そして自分の肌状態を観察することも大事なスキンケアのポイントですから、自分のお肌タイプを確認するとともに、自分のお肌の乾燥状態も必ず把握しておきましょう。
失敗しないための、乾燥対策の基本
乾燥対策は現状の見直しから
乾燥を招く原因は、冬季など季節による湿度の低下のほか、お肌のバリア機能を低下させる誤ったスキンケアや不規則な生活習慣などさまざまです。
お肌の乾燥を感じたら、保湿とともに自分の生活習慣やスキンケアアイテムを確認したり、場合によっては見直すことも必要かもしれません。
乾燥したお肌はお肌のバリア機能が低下した状態。外部の刺激に敏感になっていますから、お肌の乾燥対策はいつもよりお肌へ負担をかけないよう、低刺激を意識することが一番のポイントです。
スキンケアの見直し
洗顔料をシンプルな固形石けんに変える
乾燥を感じるときは、お肌は外部刺激の影響を受けやすくなっています。界面活性剤の配合量が多いムースやリキッドタイプの洗顔料を使用しているなら、より刺激の少ない固形石けんに変えてみましょう。
クレンジング料はクリームタイプに
油性の汚れを落とすためにクレンジング料には界面活性剤が多く含まれているもの。シートタイプやオイルタイプより、適度に油分を含むクリームタイプがおすすめです。クリームタイプでも強いようならミルクタイプに。
乾性肌タイプ、40代以降は油分も補給
皮脂の分泌量が低下する40代以降は、保湿に加え油分の補給も大切になります。
若い頃には皮脂分泌が多かった方でも、特に、顔の部分によってカサつきやテカリが混じる混合肌タイプの方は油分の補給をおろそかにしがち。
過剰な油分は毛穴詰まりやニキビの元ですが、お肌のタイプは年齢によっても変わります。自分のお肌の状態をもう一度確認して、不足する油分をクリームで補うなど最適なケアを講じましょう。
保湿パック
乾燥しているお肌は化粧ノリも悪くなります。これは角質が厚くなり、お肌の浸透性が低下しているため。そんな時はいつものスキンケアに保湿パックを追加すると効果的です。
シートパックとクレイ(泥)パック、石膏パック
最近は手軽なシートパックが人気ですが、シートパックをする際は使用時間を正しく守りましょう。長時間のシートパックはお肌の水分の蒸発を促すとともに、美容成分を減少させるので逆効果になってしまいます。
どうせパックをするなら、密閉性が高く水分の蒸発を防いで浸透性を促してくれるクレイ(泥)や石膏パックがおすすめです。それに塗る手間が多少面倒でもパック後は洗い流すだけですから、すぐにいつものスキンケアのルーティンに入れますよ。
パックは朝か入浴後に
即効性のあるパックはメイクのノリをすぐに実感させてくれます。タイミング的には朝のメイク前が一番最適ですが、表面の水分の蒸発とともに急激にお肌が乾燥する入浴後も美容成分が浸透しやすいのでおすすめです。可能なら、週二回のパックが理想です。
乾燥肌にはパウダーファンデーション
乾燥したお肌は外部の刺激に弱く、敏感になっている状態です。
乾燥肌には低刺激が基本ですので、ファンデーションも刺激が強いクリームやリキッドタイプではなく、パウダーファンデーションを使いましょう。
パウダーファンデーションはリキッドタイプやクリームタイプのようにお肌の刺激になる界面活性剤や防腐剤が入っていないという成分配合的な理由もありますが、さらにメイク落としで負担をかけないという利点もありますし、さらに光を散乱する性質からUVケアにもなるので一石三鳥です。
お肌の乾燥がひどいときには
肌荒れがひどくなってしまったら、
とにかく迷わず皮膚科へ相談がおすすめです。
お肌の乾燥が進むと、化粧水がしみたり、かゆみを感じるといった肌荒れの症状が出ることも。
お肌のトラブルを深刻化させないためにも、ベストは皮膚科へ。ではありますが…
化粧水の使用は中止
肌荒れで角層が乱れているお肌には水分が多い化粧水は刺激になります。しみると感じたら、すぐに化粧水の使用を中止しましょう。
肌荒れがひどいときのスキンケア
肌荒れを感じてもすぐに皮膚科へ行けない場合は、スキンケアは洗顔とクリーム、UVケアだけにしましょう。メイクアップはもちろん中止です。
・ワセリン、クリーム
ワセリンは皮膚からの水分蒸発を防ぐ保湿材です。Webやドラッグストアで簡単に入手できますが、シンプルなもので十分です。クリームは普段使いのもので試してみて、違和感を感じたらワセリンに。改善してきたら、徐々にいつものスキンケアに戻しましょう。
・UVケア
どんなときもUVケアは必要です。肌荒れがひどい場合は、ワセリンやクリームの上にパウダーファンデーションかルースパウダーで紫外線対策をしましょう。
乾燥に配慮した生活習慣
加湿
空気中の湿度の低下は急激にお肌を乾燥させます。
室内ではエアコンなどで温度を調整するだけではなく、加湿器による湿度の調整も行いましょう。お肌に最適な湿度は60%です。
清潔
乾燥したお肌へ不要な刺激を与えないよう、下着などの衣類や布団・シーツなどの寝具は綿などの肌触りの良い天然素材のものを。
またそれぞれを清潔に保つことも、お肌に刺激を与えないためにはとても大切です。
食事
健康なお肌は健康な生活習慣から。バランスの取れた規則正しい食事も心掛けましょう。
乾燥の乾燥が気になる時期には、特にお肌のターンオーバーを整えるビタミンAや、血行を促す鉄分を意識して食事で体に取り込みましょう。
ビタミンAはニンジン・小松菜・パプリカなどの緑黄色野菜に、鉄分ならレバーや豆類の摂取が効果的です。
保湿ケアの基本
化粧水と保湿
スキンケアにおける「保湿」は、お肌に水分ではなく「保湿成分」を与えること。化粧水の水分はお肌へうるおいを与える効果はほとんどありません。(※ただし保湿成分が配合されている場合をのぞく)
なお、保湿成分が配合されている場合でも、化粧水の保湿成分は美容液より少ないもの。それに保湿を化粧水に頼ることは、化粧水本来の目的とも異なります。
うるおいの補給は美容液で
最近はスプレータイプの化粧水にも保湿成分配合のものがあり、その手軽さからメイク直し時には重宝しますが、もしそれでも乾燥が気になるなら、保湿ケアはやはり美容液で行いましょう。
乾燥を感じた際には適宜、セラミドなどの保湿成分が配合された美容液を、気になる部分へ手のひらなどで軽く押さえるように塗ればメイク崩れも起きにくいですし、何より保湿効果が高いのでおすすめです。
保湿成分の確認
ひとくちに「保湿成分」といってもその内容は様々です。(詳しくは保湿についてページを)
保湿成分が配合された美容液などを使っているのにお肌の乾燥が気になるなら、まずは説明書通りにスキンケアアイテムを正しく使用しているか確認してみましょう。適量で使用しない場合、化粧品は正しい効力を発揮できません。
それでもお肌の乾燥が気になるようなら、今のスキンケアアイテムの保湿効果が不足しているということですので、より保湿効果が高い保湿成分が配合されたアイテムや保湿成分の配合量が多いアイテムを試してみる良い機会かもしれません。
保湿成分の配合量は説明書やメーカーサイトを見ても分かることはあまりありませんが、セラミドなどお目当ての保湿成分がある場合は、化粧品に記載された全文表示の上位に表記されているかを確認するとひとつの目安にはなります。
☆化粧品全成分表示のルール
・配合されているすべての成分を記載
・配合量が多い成分順に記載
・配合量が1%以下の成分の記載順は自由
・着色剤は最後にまとめて記載
セラミド
数ある保湿成分の中でも、最強の保湿力を誇る美容成分がセラミドです。
お肌の乾燥が気になりつつ、セラミドが配合されたアイテムを使用していないなら、一番手っ取り早く効果を実感できるはず。
その他、セラミドの減少が顕著になる40代以降であれば、お肌内では水分だけではなくセラミドや油分も減少しますので、セラミド美容液にクリームをプラスし、油分の補給も同時に行いましょう。
※この他の保湿成分については保湿についてのページをご覧下さい。
>>次のページ お悩み別スキンケア②毛穴へ
>>TOPへ戻る