毎日のスキンケア⑦UVケア
UV(Ultra Violet)の意味は紫外線ですが、紫外線はお肌の老化原因の80%ともいわれている、お肌の大敵。
日焼けやシミ・そばかすの原因であるばかりか、もし紫外線が真皮にまで達してしまえばシワやたるみの原因にもなりますし、無防備なままでは皮膚がんや白内障などのリスクも高くなります。
そして紫外線による真皮へのダメージの特徴は「蓄積される」ことも特徴です。
紫外線は肉眼では見えないため秋冬の外出や屋内ではつい油断しがちですが、蓄積されたダメージは将来のお肌の状態に確実に影響します。紫外線とUVケアアイテムの特徴を理解して、将来までお肌を守りましょう。
紫外線の種類
紫外線は波長により、A波(UV-A;波長315~400 nm(ナノメートル))、B波(UV-B;波長280~315 nm)、C波(UV-C;波長100~280 nm)の3種類に分かれますが、C波は地方まで届かないのでUVケアで対象とされるのはA波(UV-A)とB波(UV-B)です。ともにお肌へ大きな影響を与えるため、それぞれ異なる日焼け止め成分での紫外線対策が必要です。
紫外線A波(UV-A)の特徴:シミ、シワ、たるみ
A波は波長が長いためにオゾン層や雲、窓ガラスにもあまり遮られず、さらにはお肌の奥まで達する性質があるので屋内でも油断禁物。
波長が長い分エネルギーは弱く、すぐには日焼けなどの目立った変化をもたらさないのでその存在は実感しづらいのですが、メラニンの生成を促すために将来シミが目立つ原因に。
また真皮内の美容成分を生み出す線維芽細胞に損傷を与えるため、シワやたるみといったお肌の老化(光老化)も促します。
その透過性の高さからA波はB波に比べて季節による紫外線量の変動も少ない手強い紫外線で、地表に達する紫外線のほとんど(約90%以上とも)がこのA波です。
なお、気づかずとも浴びたA波の20~30%は真皮にまで達すると言われていますので、室内外問わずしっかりとした通年の対策が必要です。
紫外線B波(UV-B)の特徴:日焼け、そばかす、シミ
お肌の表層部分にある表皮に影響し、日焼けの原因になる紫外線です。波頭が短いためA波より透過性は低いもののエネルギーは強く、皮膚がんの原因にもなります。
やけどのように赤くなる日焼け(サンバーン)も、メラニン色素の沈着で褐色や黒くなる日焼け(サンタン)もB波がもたらす影響ですが、透過性が低いので意識して直射日光を避けることも効果的です。
年間紫外線量推移の特徴とUVインデックス
季節によって紫外線量は変化します。A波B波ともおおむね同じように推移する傾向がありつつも、通年を通して紫外線量がゼロになることはありません。
また11月から2月の冬季にはA波・B波とも紫外線量は低下しますが、透過性が高いA波は冬季でもピーク時の約半分近くの影響力を保持します。
(参考グラフはウェザーニュース「5月の紫外線は夏並み うっかり日焼けに注意」より)
※なお、最近は天気予報などでもUVインデックスを元にした紫外線予報も出されるようになりましたが、「UVインデックス」は気象庁サイトで確認することも可能です。
※関連リンク:ウェザーニュース:「しわやたるみの原因にもなる紫外線「UVインデックス」を有効活用」、「各地の紫外線予報ページ」
紫外線がお肌に影響を与えるメカニズム(メラノサイト)
紫外線に対処するのは表皮最下層の基底層に存在するメラノサイトです。
お肌が紫外線を浴びると、メラノサイトはダメージを軽減すべくメラニンを生成します。
メラニンは紫外線を吸収して日焼け反応を作り出しますが、日焼けのための対応とは別にメラニンは表皮の中でカーテンのように連なって広がり、紫外線の真皮への到達を防いでいます。
しかし、加齢などでお肌のバリア機能が弱まると、メラニンは真皮まで落ちやすくなってしまいます。
加齢とともに頑固なシミができるのはこのためで、決してメラニンが加齢とともに過剰に増えるわけではなく、お肌のバリア機能が低下してしまうことがその理由です。
関連:>>お肌のバリア機能
日焼け止め化粧品選びのポイント
PAとSPF
日焼け止め化粧品に表示される「PA」はA波(UV-A)の、SPFはB波(UV-B)のカット効果を示す指標です。
PAは「+」の数で効果を表しますが、「+」の数が多いほど(最大は「+++」)効果が高いことを意味します。
SPFは数値で表記されますが、その数値は日焼け止めを使用していない状態に比べ、B波による炎症(日焼け)をどのぐらいの時間防ぐことができるかを表します。
例えば「SPF20」なら、日焼け止めを使用しない場合に比べB波による炎症を20倍長く防げるという意味です。
どちらも数値が高いほど効果は大きくなりますが、数値の大きいものや耐水性のあるウォータープルーフのアイテムはお肌への負担も大きくなります。
紫外線吸収剤と紫外線散乱剤
紫外線吸収剤と紫外線散乱剤はそれぞれ異なるメカニズムで紫外線によるお肌への負担を軽減してくれますが、敏感肌さんには紫外線吸収剤はお肌に負担となるものも。
紫外線吸収剤にも敏感肌対応の製品はありますが、気になるようなら「紫外線吸収剤不使用(またはフリー)」、「ノンケミカル」表示のものを選びましょう。
・紫外線吸収剤:紫外線吸収剤は、その名の通り紫外線を吸収する化学物質。お肌の表面で紫外線を吸収すると化学変化を起こし、紫外線を熱エネルギーに変える仕組みで紫外線の効果を和らげてくれます。
A波・B波それぞれで対応する成分は異なるため、紫外線A波吸収剤と紫外線B波吸収剤の2種類があります。
・紫外線散乱剤:紫外線散乱剤もまた、文字通り紫外線を反射させる物質です。酸化チタンや酸化亜鉛など酸化させた金属や、タルク、カオリンなどを細かい粉末状にしたものが代表的な成分です。
季節や場所など、シーンでの日焼け止め選びポイント
効果が高いほどお肌への負担も大きい日焼け止め化粧品ですから、紫外線の強さに応じたUVケアを。
また日差しを受ける時間も考慮しつつ、汗などによる化粧崩れに応じたこまめな塗りなおしをすることも重要です。
・夏やアウトドア:夏の外出時や照り返しの厳しい冬のスキー場など、特に強い紫外線をたくさん受けるシーンで使用する日焼け止めはPAなら「+++」、SPFは40以上のものを選びましょう。
・その他の季節や屋内など:日中の外出が2時間以内で、あとはほぼ屋内で過ごすといった生活サイクルなら、PAなら「++」、SPFは25ぐらいを目安に。
☆生理前のUVケアはご用心
黄体ホルモンの分泌が多くなる生理前は特にUVケアを念入りに。
なぜなら黄体ホルモンは紫外線感受性を高め、通常時より日焼けしやすくなるからです。なお、妊娠中やピルの服用時にも黄体ホルモンの分泌は盛んになりますので注意しましょう。
テクスチャーで選ぶ際の注意点
ローションやジェルタイプ、スプレータイプはベタつかない使用感で人気ですが、ほとんどのものがお肌への負担が大きい紫外線吸収剤を使用しています。
敏感肌さんやお肌にやさしい日焼け止めを望むなら「ノンケミカル」やベビー用を選びましょう。
パウダーファンデーションのUV効果
特にUV効果の表示がないものでも、パウダーファンデーションはその細かな色粉の形状から、紫外線散乱剤と似て光を散乱させる効果があります。
もちろん、UVケアとして日焼け止め化粧品の上にパウダーファンデーションを重ねれば、より効果的に。
また、クリームやリキッドタイプのファンデーションは成分中に界面活性剤の配合量が多いため肌荒れの原因となることがありますので、お肌への負担を考えてもパウダーファンデーションはおすすめです。
なお、UVタイプのファンデーションは紫外線吸収剤が含まれていることがあります。お肌への負担が気になる方はご注意下さい。
おすすめUVケアアイテム・化粧品
失敗しないためのUVケアポイント
失敗しないためのUVケア心得
その1 日焼け止めはケチるべからず
適正な使用量を守るのはスキンケアの基本ですが、それは日焼け止めでも同じ。
UVケア化粧品は開発時に人間の皮膚を使って効果を測定しますが、その際に使用される製品の分量は皮膚1㎠あたり2mg。ところが、一般的な平均使用量はその4分の1程度と言われています。
これをB波にUVカット効果があるSPF指標で換算すると、実際の効果は約20分の1に。
これではせっかく季節などのシーン、お肌の負担などを考慮して日焼け止めアイテムを選んでも、十分なUV対策にはなりませんよね。
それでも、どうしても日焼け止めのベタつきが苦手な場合はせめて、紫外線によるシミができやすい頬骨の周辺だけでも、少し厚めに日焼け止め化粧品を塗りましょう。
その2 メイク崩れは速やかに直すべし
ファンデーションの崩れはUVケアの崩れ。放置すればするほど、それはそのまま紫外線によるお肌のダメージ増大につながります。
失敗しないための、正しい日焼け止め化粧品使用方法
①適量の日焼け止め化粧品を手のひらに取ります
※使用量が不足する場合、指標数値通りの十分なUVカット効果は得られません
②額、鼻、両頬、あごの各部位にのせ、指の腹や手のひらで内側から外側へ塗り広げます
③日焼けしやすい頬骨や耳、塗り残しやすいあごの下や首、露出しがちな首・肩回りや胸元まで、塗り忘れを確認しながら塗り足します
※この際、日焼けによるシミやそばかすができやすい鼻と頬骨は重ね塗りすると○。
失敗しないための、うっかり日焼け注意ポイント
①曇りの天気
季節やお天気によって紫外線量は変化しますがA波・B波ともに、晴れの日に比べ曇天でも約60%、雨でも約20%程度が地表に降り注ぎます。
蓄積する紫外線のダメージを考えれば、曇りだからと気は抜けません。
また傾向は似ているものの、季節による気温の変動と紫外線量は必ずしも比例関係ではありません。まだ涼しい春先から紫外線量は多くなりますし、標高の高低でも紫外線量は大きく変わります。
参考:2.年間紫外線量推移の特徴とUVインデックス(ページ内リンク)
関連:気象庁「雲と紫外線」
②日陰
地表に届く紫外線には、直線的に進む「直射光」と、四方八方に広がって散乱する「散乱光」があります。晴れた日に地表に到達する紫外線量での割合は直射光が約40%、散乱光が約60%と、実は散乱光のほうが多いとされていますが、まだまだその存在を知らない方も多いようです。
その特性上、散乱光は日陰や物陰で完全に遮られることはありませんから油断大敵です。
関連:気象庁「散乱する紫外線」
③屋内
紫外線A波はガラスも通り抜けます。屋内や自動車、各種交通機関内での移動中も注意しましょう。
④服装
UVカット効果のない衣類の場合、たとえ長袖を着用していても紫外線は容赦なく通り抜けます。
衣類による紫外線対策は必ずUV加工されたアームガードやストールなどを着用しましょう。
⑤短時間・近距離
たとえ近くても短時間でも、紫外線によるお肌のダメージは蓄積され、いずれシミやシワなどの原因に。紫外線がお肌の老化原因の約80%だという事実をしっかり意識しましょう。
うっかり日焼け防止はしっかりメイク直し
理想的な日焼け止め化粧品の塗り直しは2~3時間に一度が目安です。ベースからの塗り直しは大変ですが、せめてパウダーファンデーションでのお直しは忘れずに。
UVサングラスの効能~目の日焼けはメラニン増加に
目の角膜が紫外線を吸収すると、脳が体内でのメラニン色素の生成を増加させるようにと命令を出し、肌が日焼けします。
この命令は、「たとえ直接的に肌が日焼けしていなくても発生する」こと、また日本人は欧米人に比べて目から紫外線を受けやすいことが研究で分かっていますので、しっかりとUVサングラスで目も守りましょう。
参考:PR TIMES「~意外と知らない!? 「目の紫外線対策」のウソ・ホント~ 日本人は、欧米人よりも、目から「紫外線」を浴びやすい!?「目から日焼けする」事実を知らなかった人も約半数に…」
>>スキンケア目次ページへ
>>TOPへ戻る